今回ご紹介するのは自然大好きっこの長谷川幸子さん。朗らか、元気ハツラツ、まるで豊かな枝葉を空いっぱいに伸ばした大樹のようにおおらかで、キラキラと心地よい木漏れ日を降り撒いているような感じの方です。そして、なんと言うか、心の底から人生を楽しんでいる様子。今回はそんな長谷川さんの輝きの秘密を探ります。

まず、どんなお仕事をされているかと言うと…

• 一般社団法人日本インタープリテーション協会 理事
• ウレシパモシリ~保育と自然をつなぐ研究会~;自然遊びインストラクター
• 華道・松月古流師範

の主に3つ。この中でおそらく分かりにくいのは一般社団法人日本インタープリテーション協会(以下、日本IP協会)かと思われますので、まずはちょこっと説明を。 インタープリテーション(interpretation)の直訳は「解釈」、そしてそれを行う方をインタープリター「通訳」と呼ぶのですが、日本IP協会において、語学はほとんど関係ございません。

長谷川さんが理事をなさっている日本IP 協会 とは、「地域資源(自然や文化、歴史など)の意味や価値を伝えることを通して持続可能な社会づくりに貢献する教育。自然公園や多様な教育の現場、観光などに活用されています。(http://interpreter.ne.jp より抜粋)」ざっくり申し上げると、人と地域を繋げるお手伝いをする方々の集まりなのですが、従来の教育とひときわ違うのは、その場を訪れるみなさんが自分で感じ、考え、体験する機会が持てるようなアプローチを行う達人の集まりということです。仮にBeleaf+の蔵を例に挙げると、「これは〇〇さんが△△の目的で建てた築100年の□□作りの蔵です」といった一方的な教育情報提供ではなく、訪問者が何を思うか、どう感じるか、というそれぞれ個人の主観を大切にしてくださいます。筆者の場合は蔵の扉が重たいとか、空気が冷たいとか、雨漏りのシミとか、に気づくわけですが、そういったことを入口に、より個人的な繋がりや理解を感じるように導くのがインタープリターです。

ウレシパモシリ(アイヌ語で「互いに育ち合う大地」の意)での長谷川さんは、自然界の面白さ、多様性などを通して、子どもたちの好奇心、感性、想像力、思いやりなど、豊かな人間性と丈夫な心を育てるお手伝いをなさっています。

そして華道。花を愛でる心と感性を養い、優しさや、美しさ、癒しなどを毎日の暮らしの中に取り入れる為のヒントを教えてくださいます。

「自然って素晴らしいんです。何ひとつ同じものがないし、正解がなくて、それぞれが美しい。多様性の当たり前がそこにあります。」

お仕事でも、日々の生活にも、長谷川さんの基本は自然との関わり。今回インタビューの一部を飯能河原周辺をお散歩しながらさせて頂いたのですが、歩くそばから白タンポポを見つけたり、河原の石を拾い出したり、水面のキラキラを写真に撮ったり、まさに自然を楽しむのがお上手です。

いつから自然が好きだと思ったのですか?

 「さぁ、いつからだろう?子どものころ家の目の前が川だったり、近所のおばさんが木の名前に詳しかったり、自然に触れる機会が多かったからかもしれません。小4の時から8年間カヌーをやっていたからかな?」

は?8年間カヌー?

なんと長谷川さん、高校時代ジュニアカヌーの全日本代表(オリンピックの指定強化選手!!!)まで上り詰めた経験がおありです。そのきっかけも、ある日テレビでインタビューに答えていたトップアスリートを見て、とてもキラキラしていたので感化されたと。

「大会で優勝するアスリートの多くは、4歳くらいからその競技を始めるじゃないですか。私は当時小学4年生で、今からでは遅いって焦って、目の前が川だったのでカヌーを始めました。」

それ以来高校3年の大会まで、一番になることを目標に、冬は前髪を凍らせながら、夏は炎天下に焼かれながら、ただひたすらカヌーで戦う毎日だったとか。なので常日頃疲れ果てていて、「授業は寝る場所」だったのだそうです。思春期によくありがちな女子のグループとか、巷の流行とか、一切興味もなく、カヌーひと筋のストイックな日々を送っていた結果、全日本代表までこぎつけたと。

変わった子供だったんですねぇ。学年に一人いるかどうかもわからないくらい。

「言われてみるとその通りかもしれないです!笑笑」

当たり前と言われる道を進むことに、いつも疑問を持っていたという長谷川さんは、大学時代も就職活動なんて考えてもみなかったそうで、話を聞けば聞くほど、「普通とは違う」感じです。

孤独じゃなかったですか?ご両親は何とおっしゃっていたのですか?

「それが不思議と、ストイックに過ごしていたら興味を持った人が自然と集まって来たんです。おかげで付き合いやすい友達が出来ました。両親は私の人生なんだから私が決めること、というスタンスでしたから、何も言いませんでした。勉強しろと言われたことは一度もありません。」

子どものころから自分の好きなこと、夢中になれる事に素直でいられる家庭に育ったようです。

そんな長谷川さんにも「自然が好き」と言えない時代がありました。それは高校代、そのフレーズが「先生が喜ぶ模範解答」のように受け取られてしまい、違和感や疑問を覚えたのだそうです。でも、長谷川さんは周りの意見や雰囲気に流されることなく、自分が本当に好きなものは何か、リストアップして消去法を実行。真剣に自分の心と向き合いました。結果、やっぱり自然が好き。

迷いが晴れた後、大学では林学科を専攻し、森林インストラクターの資格を取り、森林レクリエーションを学び、バードウォッチャーのウンチクに肩を落とし、ハイテンションキャンプ三日目で力尽き、「自然が好き」の中にも色々ある事を知った長谷川さん。専門知識の暗記や発表会でもなく、楽しさを追求するだけでもない、もっと「心地よく」人と自然が繋がる着地点を探し求め続け、そして巡り合ったのがインタープリテーションとウレシパモシリです。

「いつも自分が心地よいと思えることを選び続けてます。」

自分の心に忠実な人って、他の人の道にも敬意を示すことが出来るのだと思います。筆者が痛く感銘を覚えるのは、長谷川さんの活動は常に、ひとり一人の多様性を尊重するというスタンスをつらぬいていらっしゃるところ。自然界に正解がないのと同じように、人間の在り方、生き方にも正解がないことを深く心得ていらっしゃいます。だから、自分がどんなに素晴らしいと思っていることでも、決して人に押し付けない。

「私は空を飛ぶトンビとか、切り株から伸びる新芽とか、いつも自然から勇気や元気をもらっているんですよ。自分の活動を通して出会った方にも、いつか自然の力が役立つ日があるかもしれないと、種をまくようなつもりでいます。」

オールオッケー!」とにこやかに語る長谷川さんは、現在二人のお子さんの子育て真っ最中です。

「子ども達が乳幼児だった頃、また今夜も眠れないんじゃないかと、毎晩夜が来るのが怖かったし、自分はちゃんと子育て出来てるのか不安でした。」

と新米ママあるあるも経験しました。読者のみなさんの中にも経験者がいらっしゃるのではないでしょうか?家の中には言葉の通じない赤ちゃんと子育て初心者、寝不足続きの私だけ。いわゆる「ちゃんとした母親」であろうと思えば思うほど苦しくなる、あの鉛のような毎日。我が道を行く長谷川さんでさえも、ひとりで子育ては出来ない。人に頼ろう。自然の力を借りよう。と思考を転換させるまでずいぶん苦しかったようです。

そんな経験もあり、最近の長谷川さんは自然遊びインストラクターとして、子育て中の親御さんや教育現場の方々に、「自然の力を借りると子育てが楽になる」という選択肢を提供出来たら、と強く願っています。ちなみに、どのくらい楽になるかと言いますと、長谷川さんが唯一「これだけは…(;’∀’)」とおっしゃった、ライフワークバランスの自己評価。今ではお仕事を楽しみ過ぎてついつい没頭してしまい、家事育児をご主人と義理のお母様に甘えに甘えてしまうくらい、たくましくなっているらしいのです。

「時々夫に『君には家庭の役割もあるんだよ』と諭されてます。笑」

笑顔で支えてくれる家族がいて、とても恵まれているとおっしゃるのですが、筆者が思うに、自分に正直な長谷川さんには応援したくなるキラキラがあって、良きサポーターを引き付けているのではないかと…。お母さんがニコニコ幸せだと、家族も幸せになるとおっしゃる方もいますし、それこそ「オールオッケー」なのでしょう。

今回の取材をまとめながら、自分を大切にするって幸せの秘訣だよね、とつくづく思ってしまう筆者です。自分を大切にできる人は、同じように他人のことも大切にできるし、自分を大切にしてくれる人が周りに集まる。長谷川さんはそのお手本のようです。

この記事の終わりに、振り返ってみましょう。

「自然って素晴らしいんです。何ひとつ同じものがないし、正解がなくて、それぞれが美しい。多様性の当たり前がそこにあります。」

飯能市は75%が山間部。美しい渓谷も里山もあります。散歩の途中、通勤通学の途中、買い物の途中、子どものお迎えの途中、気が向いたら、とりあえず立ち止まってみてはいかがでしょうか?
みなさんのキラキラが、自然の中に反射しているかもしれませんよ~。

自然大好きっこの方必見のリンクです!

さっちん(こと長谷川幸子さん)のインスタ: https://www.instagram.com/sacchin.hasegawa/
一般社団法人日本インタープリテーション協会: http://interpreter.ne.jp/
ウレシパモシリ~保育と自然をつなぐ研究会~: http://ureshipa.jp/